アンジェイ・ワイダ 祖国ポーランドを撮り続けた男

日曜のETV特集、とりあえず、録画しといたつもりだった。
今日は休みなんで、世界ふれあい街歩きと一緒にみようと思っていたら…
90分番組が、40分しかとれてなかった!


誰じゃーーーーー、テレビのスイッチをきったのはーーーー
再放送希望(超個人的理由)
⇒BShi 7月13日(日) 午後7:00〜8:50
※HDにためてるんだけど、テレビ本体のスイッチを切ったらどーにもならん。
 でもまぎらわしいんだよな。電源の横に録画中・注意!!の表示をつけてほしい(涙)


ってことで40分の感想なのだが、濃かった。


アンジェイ・ワイダ 祖国ポーランドを撮り続けた男



Andrzej Wajda(1926-)


ポーランドから出ずに、国内で検閲と戦ってきた映画監督だ。
”私にとって今まで経験してきたことや、人生について語る映画をよその国で撮ることは考えられなかった”
身近なところでいえば、今の中国みたいな(笑)
実際、中国人監督の映画なのに国内で上映できないとかよく聞く話だよね。
共産党ってなんなんだろーとみながら思った。


で、映画『カティン』。⇒映画のオフィシャルサイト http://katyn.netino.pl/
これって日本で公開されたの?ってどうもまだみたいなんだけど。
この番組は”ひとりの映画監督が念願の映画を撮りました”というナレーションで始まるんだけど、
それが『カティン』だ。


ソ連とドイツの密約で分割されたWWIIのポーランド
密約をうっちゃってソ連に侵攻したナチスがみつけたのが、ポーランド将校の大量の遺体@カティンの森ソ連

ドイツはソ連の仕業といい、ソ連はドイツの仕業というのだが、
実際、スターリンの仕業。ポーランド人将校の大量虐殺。


そこで犠牲になったのが、ワイダ監督のお父さん。ポーランド軍の大尉だった。
妻である監督のお母さんは、49歳でなくなるが、ずっと帰ってくるのを待っていたそうだ。
このお母さんの姿をそばで見ていた監督は、遠くにいた男性たちではなく、
女たちを映画の主人公にしなければと思ったそうだ。


将校だけでなく、2万人以上が犠牲になりながら、半世紀にわたってソ連は認めず、
”現代史の闇”だった事件だそう。
ポーランドは戦争が終わってもソ連の衛星国になってしまった為、
ソ連ポーランドにいる限り、この題材を映画にはできなかったわけで。
公開初日(2007/9)の挨拶で監督はこの映画を両親にささげるといっている。
”おそらくそれ(父親が虐殺されたこと)が運命として、私の人生の最後に『カティン』を撮る理由です”
事件から映画の実現まで70年。

すごい執念だな。


監督は美大に入った監督だったが、集団で創作する映画に魅力を感じ、
美大を中退して国立映画大学に入る。

その時に心に決めたテーマが”私たち、戦争で生き残ったものは、亡くなった人の声に耳を傾け、
その記憶を伝えていかなければならない。作家、画家、映画監督はみなそのような義務を感じた。
戦争というテーマがポーランドでは芸術の中に強く根付いた。”


地下水道』はナチス占領下のワルシャワ蜂起を題材にした映画。
ドイツ軍とレジスタンスが戦っているのに、対岸まできていたスターリンは63日間も動かない。
ってことで、蜂起は失敗するんだけど、映画ではこれがかけないわけだ。政治的に。
でも監督曰く、観客は、対岸のソ連兵を映画で見せることができないことはわかっているし、
”鉄格子・川・灰色の対岸”で象徴としては十分だそうだ。
検閲のぎりぎりとも。

”時に沈黙は言葉よりも雄弁です。どれだけ言葉を費やしてもむなしかったでしょう。
沈黙は真実を語ったのです。”(ワイダ)


映画を見る人の想像力で検閲の壁をのりこえようとした(ナレーション)


『灰とダイアモンド』は原作が小説だそうなのだが、
これが社会主義を正しく伝えるのバイブルってことで、国が選んだ必読書だったそうです。
へーーー
ってことで、検閲するほうは、小説の印象が強すぎて、
社会主義政権の要人を主人公にしたものを作るんだろうと思ったのか、
撮影の許可がでたそうだ。
映画の主人公は暗殺者のマチェックの方。


脚本には「マチェックと仲間がバーで向き合って酒を飲む」とあるシーン。
反政府組織の仲間の名をよびながら、ウォッカに火をつける。※

社会主義の敵として死んでいった仲間に鎮魂の思いをこめたシーン。
※死者のほのお ポーランドキリスト教より古くから伝わるもの。


”撮影現場で作ったこのシーンの意味をせりふでは表現できません。
検閲は言葉に異常なほど神経を使います。イデオロギーとは言葉で表現されるからなんです。
ですから映像で表現されると、検閲は難しくなるのです。”(ワイダ)


”グラスに火がついて墓地ができあがる、そんなシーンの上映を許すべきかどうか決めるのは難しいこと…
検閲官はこのシーンを削除すべきかどうか、なぜ削除すべきなのか判断できないからです。”


ってことで、ポイントはせりふでは表現できないシーン。
地下水道』の対岸の映像と同じっすね。


……ってここで終了……
NHK、番組ネットで見られるようにして〜
300円くらいなら、払うし(笑)



二十歳のアンジェイ・ワイダ。どこの琴欧洲かと思った。