茨木のり子関連本 人間の質

後藤正治

このほんより


金裕鴻 キム・ユホン
洪允淑 ホン・ユンスク


金芝河 キム・ジハ
趙炳華 チョウ・ビョンファ
尹東柱 ユン・ドンジュ

いい詩は、その言語を使って生きる民族の、感情・理性のもっとも良きものの結晶化であり、
核なのだと改めて思う。


おー岩波にはいっている。

 弟の一柱さんと話していると、そのお人柄にどんどん惹きつけられていった。私の脳裡に「人間の質」という言葉がゆらめき出て、ぴたりと止まった。あまり意識してこなかったけれど、思えば若い頃からずっと「人間の質とは何か? どのように決定されるのか?」ということを折々にずいぶん長く考えつづけてきた、見つづけてきた、という覚醒が不意にきた。
 不思議な体験だった。
 それも尹一柱さんというすばらしい「人間の質」に触れ得て、照らしだされてきたことで、いきおい兄である尹東柱もまた、こういう人ではなかったか? と想像された。
 もの静かで、あたたかく、底知れぬ深さを感じさせる人格。
 だが三年間近くの日本の留学生時代、伊吹郷氏の丹念な調査にも関わらず、誰一人、彼を記憶していないということは……なんとも言えない情けなさである。
 ともあれ尹東柱・一柱兄弟に出会えたことは、最近の私の大きな喜びである。
 これもハングルを学ぶ道すがら、その途次でのことであった。

 
後藤さんの本には茨木さんの引用がけっこうあるんだけど、
すごーーーーーーーーーーーーくわかりやすい日本語。


小説家とかむかしだれかのエッセイよんで、
それもわかりやすくて、それが意外におもえたこともあったけど
いわゆる私小説をかくひとらの自意識過剰?ぶりみたいなのが
とりあえずうっとおしく感じられて
小説家=うさんくさいものという印象はいまだにひきずっている。


でも詩人は別です。

「ハングルへの旅」から読もう