さようなら大学図書館


ということで、昨日でもって1年間の任用期間満了。
私の図書館での生活も終わった。


昨日は倉庫に放置されていた保存期間を過ぎた
ILLの伝票をシュレッダーにかけまくっていた。
90Lのゴミ袋9個分になった(笑)
※昔は相殺サービスに入ってなかった私大って多かったんですかね。
郵便振込みの伝票も出てきた。


昨日は部長から餞別までいただいた。ありがとうございました。
図書券。地元の本屋でつかいなさいとのお言葉。


いろいろなことがあったが、あっという間の1年だった。
最初の頃は係長と折り合いが悪く、
ほんと毎日行くのが憂鬱であっぷあっぷの状況だったが、
そのうち右から左に流して勝手に動いていたかもしれないな(^^;
係長にも笑ってつっこみをいえるくらいにはなった。


慣れてくると仕事が終わってから調べものをする余裕もできた。
時間外でも入れるし(図書館独り占め!)、
10冊もかりれるし(一般利用者は雑誌の貸出不可)、
ILLも利用できるし、コピーも無料。
オンラインDBも使えるし、これってすごい特典。
1年間だったけど名誉職員とかなれませんかねって
結局私は何をやってたんだろう(笑)
※ILL……自分が受付を担当してたときは料金なんてそんなに気にすることもなかったけど
…いや送料を削るために伝票をひとまわり小さく切りとったりはしてました…料金高いよな。
こっちは自腹なんじゃ〜で抄録とかないから題名で頼んで
ビミョーに外れたものが来たときにはあんた…新書1冊買える!
せめてメールで送ってよ!とかいいたくなる。


……


振り返ってみれば以前の職場の同じビルに電子ジャーナルをだしてるところが入っていたり、
毎日、NIIの前を通って昼ごはんを食べに行っていたり、
すべての道は大学図書館に通じていたのか?
なーんて思うことはなかったけれど(笑)
本とコンピュータにかかわる仕事をしてきた中では
ユーザーが学生さんや先生、地域の人とはっきりしていたし、
実際に会って対応できるし、
PCだけでなく、古い書籍を見ることもできたし、
新しいものと古いものがごちゃまぜになってる
大学図書館はけっこう面白かったと思う。
新着雑誌と紀要の配架が係の仕事にあって、
カオスの棚をぴちっとしていく、単純だけど黙々とやってく作業も好きでした。


ただやっぱり、どんなに仕事に興味をもってはりきったところで
図書館の職員としてステップアップしていく道はない以上、
どこか虚しさをおぼえてしまうのも事実で
現実的にならんといかんと辞めることにした。
月10万ちょっとの給料では…。
※スーパーのバイトをしている人もいた。
 

今回、同じ係から私も含めて3人(在職3,2,1年)辞めたが、
図書館の仕事につく人はひとりもいない。
同じ機構の中でやめる非常勤も訓練校にいったり、試験をうけるという人
他の学部の図書室の子も県外に飛び出していく。


私立大学の中には図書館で働く人はみんな嘱託というとこもあるらしい。
職場であった国立大学でも正職員ではない常勤さんが退職したり、
正職員の人が異動しても、その後には非常勤が入ってきて補っている。
職員の1/3は非常勤職員だそうだ。
※もしかして地域の雇用をつくるためのワーキングシェアってやつ?


これから(今も昔も?)正規の図書館職員を目指す人はほんと難関だろう。
どうしても図書館で働きたくて不安定な雇用で我慢している人も多いだろう。
非常勤でも上の人がギャフンとうなるような結果を出してひっぱってもらう?
国立といっても法人になったし民間みたいな中途採用もそのうちできるか?
※東大は非常勤向けの中途採用試験やってるみたいですね。


去年一緒に入って来年度残る人は
「いつ首をきられるかわからない。何かあったら首を切られるのは1年契約の人だからね」
といっていた。
職員さんに「1年で辞めるなんてもったいない」といわれた。
確かに図書館にようやくなれた頃ではある。
でもこれから経験をつんだところで何があるんだろ…と悲観的になっちまうのである。
田舎においては国立大学はいい職場という非常勤の人もいて確かにそういえるかもしれないけど、
同じ非常勤でも古くからいる人と私の契約はまた別なわけで(笑)
※50代くらいの人と卒業して数年って感じの人が多かった


うーむ。


職場の非常勤は98%女性だったりする。
女性だったらすぐ結婚でいなくなっちゃう、
またはだんなさんがいれば働く方も雇う方も非常勤は気楽でいいって感じなのかな。
※あーお子さんとかいるとこの勤務時間はちょうどいいでしょう。
安い月給でも集まってくるのが結果的に女性ばっかなのかな。


とにかく正規の図書館職員になりたい人は
学生のうちにインターンシップやバイトで見極めて
ほんとにやりたいなら公務員学校とかに行って勉強したほうがいい。


それこそ地域に図書館を開放してるんだから、交付金にたよらず、一方削るばかりでなく、
頭を使って寄付でも集めて図書館を維持する手段を考えたらどうかと思う。
また自前でどうにかできないなら大学のある町なんだから
地域に住む人(先生なんか県外からこられる方のほうが多いし)や
図書館OB(今でもボランティアで貴重書を調べている方もいる。係長いわく
貴重書のことをわかっている現役職員さんは今ではいないらしい)の力をかりて
講座を開いてみたり、いろんなことができそうな気がする。


が、まず本があるべきところにあるような図書館であってください。
他の大学図書館はしらないけれど(少なくとも母校はあるはずの本を探し回るってことはなかったな…)
ILLとかやってみると大げさだけどOPACの情報が信じられない。
棚をみるまでは…。
県立や市立図書館ができてることがなぜできない。人手不足だから?
いやいやほんとにその問題を解消する気がないだけのことでしょ?
※学生バイトさんが入るようになりましたが焼け石に水…ま何ヵ年計画になるか?
長年勤めて今回退職する職員さんも、
最近はそういうことが軽視されて…と職場の雰囲気を心配されていた。


そういや今度入ってくる新卒の正職員さんには
もったいなくてILLはさせられないといっていたけど、何をするんだろう。
目録を作るのも、ILLも、HPも、ガイダンスも、館報をワードで作るのも(笑)、本を棚に戻すのも、
パソコンの質問に答えるのも時にはレファレンスも非常勤の仕事です。
貸出カウンターは学生アルバイトさんの仕事です。
選書や展示は一緒にやってるし、リポジトリの広報か?電子ジャーナルの管理?
あと人の管理とか対外的なこととか。


ま、愚痴ばかりうだうだ書きましたが、
給料以外に不満はない、全般的にはいい職場だったわけです(笑)。


司書を目指す学生さん、主婦の方、定年を過ぎて生きがいを探していらっしゃる方、
あくまで時間やお金に余裕がある人なんかには
いい職場かもしれないです。


ってか非常勤職員を増やすんじゃなくて
長期インターンで学生に働いてもらうといいような気がします。


→大埜浩一「大学図書館員の能力開発とオープン化」『現代の図書館』44-2,2006,p.76-81